前回は、エアインダクションシステムの排気系負圧に重点をおいた記事でした。
これに付随するお話を今回してみたいと思います。
AIS。多くの人は「エアインダクションシステム」と言っていますが、なかには「エアインジェクションシステム」と言っている人もいます。
どっちが正しいの?
【用語の意味の違い(英語の定義)】
・Injection(インジェクション) 噴射・注入(強制的に押し込む) 燃料インジェクション(インジェクターなどで強制噴射)
【補足及び備考】
1.なぜ「インジェクション」と言われることがあるのか? (推測です。)
2.おまけ・・米国の資料から
これに付随するお話を今回してみたいと思います。
AIS。多くの人は「エアインダクションシステム」と言っていますが、なかには「エアインジェクションシステム」と言っている人もいます。
どっちが正しいの?
【用語の意味の違い(英語の定義)】
・Induction(インダクション) 誘導・吸入・引き込み 吸気、負圧による自己吸引を表す動作(例:吸気インダクション)
・Injection(インジェクション) 噴射・注入(強制的に押し込む) 燃料インジェクション(インジェクターなどで強制噴射)
【システム構造から見た正確な名称】
AIS は、エアポンプやインジェクターなどの強制的な圧送手段を用いず、排気ポートで発生する脈動負圧(排気サージ)を利用して、リードバルブを開かせ、空気を自然流入させる構造です。
したがって、セロー225WEキャブレター車に採用されているようなAISは、<誘導吸気(induction)>に該当し、「エアを噴射(injection)」しているわけではありません。
*ゆえに「エアインダクションシステム」が正しい技術的名称で、「エアインジェクションシステム」は構造・原理の観点から見て完全な誤用だと言えます。
【補足及び備考】
1.なぜ「インジェクション」と言われることがあるのか? (推測です。)
・一般的に「エアが排気に入る」=「吹き込む(=injection)」という感覚的な誤解の為か?
・「フューエルインジェクション(FI)」と混同して、「インジェクション=先進的な装置」と捉えがちなためか?
いずれにせよエアインジェクションシステムの呼称は誤用です。
いずれにせよエアインジェクションシステムの呼称は誤用です。
米国EPA(環境保護庁)の資料では「Secondary Air Injection System」という表記も見られますが、
これは以下の2方式を含む広義の分類名称で、実際の構造により細分されます:
Passive Type(受動型):負圧による吸気 → インダクション方式
Active Type(能動型):エアポンプで強制噴射 → インジェクション方式
セロー225WEのような構造はPassive(受動)方式にあたり、やはり技術的には 「Air Induction System」 と呼ぶのが正確です。
また、Active Type(インジェクション方式)を採用されたバイクは現段階ではこの世の中に存在していません。
3.カワサキにおいては、「エアインジェクション(KLEEN)と呼称されることも・・」
厳密な物理現象の呼称というより、「総称的に」排気系に空気を送り込むシステムを指す言葉として使っているのではないかと思われます。
2次空気導入装置全体を「Air Injection System」と総称することが、特に北米向けサービスマニュアルなどで定着しているようです。
そしてカワサキでは 2次空気導入装置を KLEEN(Kawasaki Low Emission Engine) とブランド化しており、それを説明する文脈で「Air Injection System」と呼ぶことがあるようです。
結論:「エアインジェクションシステム」と言っちゃうと、「あ~~、この人 仕組みがわかってないなあ~」と思われちゃうので、「エアインダクションシステム」と言うようにしようっと。v( ̄∇ ̄)v
-続く-
*キャブレター車におけるエアインダクションシステム(AIS)の説明です。
また、Active Type(インジェクション方式)を採用されたバイクは現段階ではこの世の中に存在していません。
3.カワサキにおいては、「エアインジェクション(KLEEN)と呼称されることも・・」
厳密な物理現象の呼称というより、「総称的に」排気系に空気を送り込むシステムを指す言葉として使っているのではないかと思われます。
2次空気導入装置全体を「Air Injection System」と総称することが、特に北米向けサービスマニュアルなどで定着しているようです。
そしてカワサキでは 2次空気導入装置を KLEEN(Kawasaki Low Emission Engine) とブランド化しており、それを説明する文脈で「Air Injection System」と呼ぶことがあるようです。
実際のところ、2000年代初期のエストレヤ(キャブ車)のパーツリストや英語サービスマニュアルでは、「Air Injection System」や「KLEEN AIR SYSTEM」と表記されている場合が確認されています。
一方、日本語マニュアルでは「2次空気導入装置」「KLEENシステム」などの表記が優先され、エアインジェクションという語は少なめなようです。
結論:「エアインジェクションシステム」と言っちゃうと、「あ~~、この人 仕組みがわかってないなあ~」と思われちゃうので、「エアインダクションシステム」と言うようにしようっと。v( ̄∇ ̄)v
-続く-
*キャブレター車におけるエアインダクションシステム(AIS)の説明です。