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2025年11月

バッテリーと充電器のお話「Ⅳ-1.2)バッテリーの種類による充電器にもとめられる条件の補足」

今回記事は前回の「Ⅳ-1.2)バッテリーの種類による充電器にもとめられる条件」の補足です。



<もくじ>
Ⅰ章 鉛バッテリーの構造
 1.バッテリーの構造概要
 2.極版について
   1)グリッド(格子)とは
   2)活物質(Active Material)とは
 3.セパレーターの構造と役割

Ⅱ章  鉛バッテリーが劣化する原因とそのメカニズム
 
1.サルフェーション(硫酸鉛PbSO₄の蓄積・結晶化・粗大化)
   1)サルフェーションの概要
   
2)サルフェーションの発生メカニズム
   
3)電圧が高いとサルフェーションが起きにくい理由

 2.グリッド(格子)の腐食・酸化(Ⅰ章と一部重複)
   1)
グリッド(格子)とは
   2)グリッド(格子)の主な役割
   3)材質と製造技術
   4)劣化との関係

 3.活物質の剥離・脱落(Ⅰ章と一部重複)
   1)活物質(Active Material)とは
   2)活物質(ペースト)の構成と役割
   3)ペーストの組成と製造
   4)活物質の反応メカニズム(放電時)
   5)活物質の劣化
   
 4.電解液の劣化・減少(電解質劣化)
        
1)電解液とは?
        
2)劣化・減少の主なメカニズム
        
3)対策のポイント

      4)硫酸濃度(比重)がバッテリーに与える影響


 5.セパレーター劣化とそのメカニズム
   1) セパレーター孔(ポア)の詰まり(Pore Blocking)
   2)セパレーターの酸化劣化(主に正極側)
   3) セパレーターの熱劣化・熱収縮
   4)活物質の脱落によるショートリスク増大(底部堆積物)
   5)セパレーターの極板密着性の変化(乾燥化)
   6)経年劣化での微小クラック・ピンホール
   7) どの極板を袋状セパレーターで包むかは“メーカーの設計思想で異なる”
   8)まとめ:セパレーターの劣化はバッテリー寿命の“最後の砦”

 6.温度・熱サイクルによる加速劣化
   1)化学反応速度の加速 
   2)電解液の蒸散・乾燥
   3)熱膨張・収縮による機械的ストレス
   4)過充電が起きやすくなる
   5)熱暴走(thermal runaway)のリスク増加
 
 7.劣化原因から導かれる対策

Ⅲ章 国産高品質バッテリと安価バッテリーの違い
 
1.バッテリー寿命に差が出る理由<GSユアサ  vs 台湾ユアサ vs 安価な中国製>
 2.サルフェーションの基本的な進行要因
 3.互換バッテリーでも違う内部構造
 4.偽物(粗悪コピー)バッテリーに要注意!
 5.(参考)購入バッテリーの選定方法(私の場合)


Ⅳ章 バッテリー充電器の違い
 1.バッテリーにあった充電器を選ぶ
   1)車両用バッテリーの種類
   2)バッテリーの種類による充電器にもとめられる条件
    (注1)VRLA(密閉型)の過充電によるガス発生について
      
(注2)GELバッテリーの充電電圧と充電器について
   3)パルス充電について
   4)維持充電(トリクル充電/フロート充電)について

Ⅴ章 その他



・・徐々に書き上げていく予定なので、”もくじ”の内容は後日修正が入る可能性があります。



(注1)VRLA(密閉型)の過充電によるガス発生について

 前回記事で、「VRLA(密閉型)は、密閉されているので ガス発生は厳禁」と学習したことをそのまま書きました。 その際に疑問に思ったのが、「VRLA(密閉型)も内部に安全弁が設けられているのに何故厳禁なの!?」

さらに深堀して調べました。

「多少は大丈夫」ではあるが、“安全弁がある=ガス発生しても問題ない” という意味ではない。  むしろ 安全弁が作動するような状態は、すでにバッテリーにとって異常事態と考えるべき!

(1)
VRLAバッテリーに安全弁がある理由
 VRLA(Valve Regulated Lead Acid)=「弁の付いた密閉型」。 この“弁”が 安全弁(リリーフバルブ) です。


(2)安全弁の役割
・内部圧力が異常に高まったときだけ開く
バッテリーが「破裂」しないようにするため
開いたときは内部ガス(主に酸素・水素が混ざったもの)を外へ排出する

つまり<破裂を防ぐための“最後の砦”>であり、<通常は一生開かない>のが正常。


(3)「多少ガスが出ても安全弁があるから大丈夫?」
→ 大丈夫ではない。 むしろ劣化加速のサイン!

◆安全弁が開く=以下のどれかが起きている状態
過充電
高温
内部で急速なガス発生(酸素/水素発生)
内部短絡(ショート)
劣化で吸着できる酸素量が減少

◇VRLAバッテリー内部はもともとこういう仕組み↓
正極で発生する酸素を、負極が吸収して再結合する(ガスを外に出さない)
この“酸素再結合反応”が追いつかなくなると、内部圧が上がり、安全弁が開く

つまり・・
安全弁作動=酸素再結合システムが機能していない(=劣化 or 過充電)
ということ。


(4)安全弁が作動すると何が起きるか

① 水分が失われる(=不可逆の劣化)
排出されるガスには水分が含まれるため
→ 電解液が減る・・・開放型のように補水はできない。
→ 内部抵抗が上昇
→ 再結合反応がさらにできなくなる悪循環

② 内部圧の急上昇 → グリッド腐食加速
高温になりグリッドの腐食が進むため、バッテリー寿命が急速に短くなります。

③ 酸ミストが外部に出て端子腐食が進む
白い粉(硫酸塩:硫酸鉛)が端子周辺につくのは、安全弁作動の典型的サイン。

④ では“少しだけ”安全弁が動くのは許容範囲?
基本的にはNG。

たとえ一瞬でも安全弁が動く状況は
過充電気味の充電器
レギュレーターの電圧が高い
高温での走行
経年で内部乾燥ぎみ
など、どれも寿命を縮めます。


(5)まとめ
・安全弁がある=多少ガスが出ても平気、ではない。
・安全弁は「破裂を防止するための緊急装置」であり、作動した時点で“異常状態”と考えるべき。


(注2)GELバッテリーの充電電圧と充電器について

バッテリーの種別によって適正充電電圧が異なることはすでに書きました。

2025-11-22バッテリー種類ごとの比較01

充電電圧が適正電圧より高い場合、過充電になりバッテリーを傷める可能性が増します。

特にGELバッテリーとLi-feバッテリーへの高電圧での印加や過充電は、”即死”をまねくおそれもあり(さらに
Li-feの過放電は即死)、バッテリーメーカーからも適正電圧以上の印加や過充電は厳禁とアナウンスされています。

ここで問題があります。

昨今の充電器は、「開放型バッテリー、VRLAバッテリー、AGM、GELバッテリー、すべてに対応!」とうたう商品がほとんどです。

さすがに鉛バッテリーと全く仕組みが違う「
Li-feバッテリー」の対応を、鉛バッテリーと違うプロファイルを持たない充電器が”Li-feバッテリー対応”とうたっている悪質な商品はなさそうでしたが・・。(後追記・・販売業者が質問に対し鉛バッテリー種類しか持っていな充電器をLi-feバッテリー対応”と回答している実例がありました。)

ただ鉛バッテリーの中で、GELバッテリーだけは14.1~14.3Vが適正充電電圧で、特にこれより高い電圧での充電は、バッテリーは破損をまねくので厳禁!とバッテリーメーカーからもアナウンスされています。

いろいろなバッテリー充電器を調べてみましたが、GELバッテリー専用のプロファイルを持ち、GEL専用の充電制御をしている充電器は見つけられませんでした。(国内で流通されている一般的な商品のなかでは)

すべて鉛バッテリーのひとつのプロファイルで、
開放型バッテリー、VRLAバッテリー、AGM、GELのバッテリーを充電しているようです。

各充電器の仕様を調べてみました。 充電電圧を仕様に明記しているところもあれば、簡単に12Vとだけ書かれていたり・・。

メーカーにより鉛バッテリーの充電電圧が14.4Vあたりのところから14.7Vと高めのものまで様々ですが、
GELバッテリー対応とうたわれていました。

信頼の高いメーカーの製品の14.4Vだとまだ許容範囲かなと思いますが、14.7Vの充電電圧や、信頼の低い(個体差のある)安価な製品の公表値14.4V±0.2Vだと、GELバッテリーを傷める可能性が高いのではと個人的に思ってしまいます。

GELバッテリーの最適充電電圧14.1~14.3Vで充電をおこなえる充電器を見つけることができませんでした。

くわえて
GELバッテリー対応とうたいながら、かなり高めの充電電圧で印加している充電器がかなりあることに驚いています。

個人的には今時点で、高額であること、過充電耐性が低いこと、そしてGELバッテリーの特性に見合ったバッテリー充電器がみつからない事etcで、GELバッテリーを使用することはありませんが、購入を検討されている方は注意された方がいいかもしれません。


-続く-

ps:本記事は自分の知識向上のために調べて作成したものです。 間違い等もあるかもしれません。ご承知おきください。



2025-11-24バッテリー充電michiru01

バッテリーと充電器のお話「Ⅳ章 バッテリー充電器の違い 1.バッテリーにあった充電器を選ぶ1)~2)」

前回記事「Ⅲ章 国産高品質バッテリと安価バッテリーの違い」の続きです。



<もくじ>
Ⅰ章 鉛バッテリーの構造
 1.バッテリーの構造概要
 2.極版について
   1)グリッド(格子)とは
   2)活物質(Active Material)とは
 3.セパレーターの構造と役割

Ⅱ章  鉛バッテリーが劣化する原因とそのメカニズム
 
1.サルフェーション(硫酸鉛PbSO₄の蓄積・結晶化・粗大化)
   1)サルフェーションの概要
   
2)サルフェーションの発生メカニズム
   
3)電圧が高いとサルフェーションが起きにくい理由

 2.グリッド(格子)の腐食・酸化(Ⅰ章と一部重複)
   1)
グリッド(格子)とは
   2)グリッド(格子)の主な役割
   3)材質と製造技術
   4)劣化との関係

 3.活物質の剥離・脱落(Ⅰ章と一部重複)
   1)活物質(Active Material)とは
   2)活物質(ペースト)の構成と役割
   3)ペーストの組成と製造
   4)活物質の反応メカニズム(放電時)
   5)活物質の劣化
   
 4.電解液の劣化・減少(電解質劣化)
        
1)電解液とは?
        
2)劣化・減少の主なメカニズム
        
3)対策のポイント

      4)硫酸濃度(比重)がバッテリーに与える影響


 5.セパレーター劣化とそのメカニズム
   1) セパレーター孔(ポア)の詰まり(Pore Blocking)
   2)セパレーターの酸化劣化(主に正極側)
   3) セパレーターの熱劣化・熱収縮
   4)活物質の脱落によるショートリスク増大(底部堆積物)
   5)セパレーターの極板密着性の変化(乾燥化)
   6)経年劣化での微小クラック・ピンホール
   7) どの極板を袋状セパレーターで包むかは“メーカーの設計思想で異なる”
   8)まとめ:セパレーターの劣化はバッテリー寿命の“最後の砦”

 6.温度・熱サイクルによる加速劣化
   1)化学反応速度の加速 
   2)電解液の蒸散・乾燥
   3)熱膨張・収縮による機械的ストレス
   4)過充電が起きやすくなる
   5)熱暴走(thermal runaway)のリスク増加
 
 7.劣化原因から導かれる対策

Ⅲ章 国産高品質バッテリと安価バッテリーの違い
 
1.バッテリー寿命に差が出る理由<GSユアサ  vs 台湾ユアサ vs 安価な中国製>
 2.サルフェーションの基本的な進行要因
 3.互換バッテリーでも違う内部構造
 4.偽物(粗悪コピー)バッテリーに要注意!
 5.(参考)購入バッテリーの選定方法(私の場合)


Ⅳ章 バッテリー充電器の違い
 1.バッテリーにあった充電器を選ぶ
   1)車両用バッテリーの種類
   2)バッテリーの種類による充電器にもとめられる条件

   3)パルス充電について
   4)維持充電(トリクル充電/フロート充電)について

Ⅴ章 その他



・・徐々に書き上げていく予定なので、”もくじ”の内容は後日修正が入る可能性があります。



いままでの章で、バッテリーの構造・品質により、劣化の差(バッテリーの寿命)が顕著に表れることが理解できました。

またバッテリーの劣化は、バッテリーの品質のほかに、バッテリーのメンテナンス=バッテリーの深放電や過充電等も大きく影響することがわかりました。

Ⅳ章では、バイクのメンテナンスに使用されるバッテリー充電器にスポットを当てて調べたことを書いていきます。

まず最初に疑問に思ったことは、巷では、
・開放型バッテリー、VRLAバッテリー、AGM、GELバッテリー、すべてに対応!
・トリクル充電で長期間繋ぎっ放しでバッテリーの寿命をのばす!
・パルス充電でサルフェーション除去!
をうたった充電器が2千円台から販売されています。

「同じことができるんだったら、安いのでいいじゃん!」と、今まで思っていました。(^^;

「高いけど、この充電器がいい!」と言っている人のレビューも見ましたが、安価なものと何が違うのか説明されている情報は得ることができず、同じことができるのなら安価なものをと・・

昔は開放型バッテリ用の充電器を使用していました。 その後 密閉型VRLA(MF)バッテリーに対応するため、自動車/バイク/小型バイク毎に充電電流が選べる<
Cellstar DRC-300>を購入。
その後、6Vバッテリーを充電するために<星乃充電器(6V/12V切替式)>を購入。
そして1年前 ヴェルティゴ250 DL12用のLi-feバッテリーに対応するために<OptiMate 4 Quad>を購入。

価格的には、
OptiMate 4 Quad>Cellstar DRC-300>星乃充電器(6V/12V切替式)の順。

今までセロー225WEで使っていたTTZ7SLバッテリー。 4年8ケ月経過して、かなり劣化がすすんでいる状態でした。 今まで<星乃充電器(6V/12V切替式)>で補充電していましたが、今回は<OptiMate 4 Quad>で補充電。

満充電+維持充電数日終了後 24H時間経過しての開放電圧が、
星乃充電器だといつもは12.8V近くまで上がっているものの、OptiMate 4 Quadだと12.5Vあたり。

ですが、バイクにバッテリーを積載して、エンジン始動、走行してみての灯火類の状態は、あきらかにOptiMate 4 Quadの方が充電できている感じでした。

この状態の見解は後にするとして、メーカがうたう文句はどれもいい事を書いているけど、バッテリー充電器でどう違うんでしょうか?


1.バッテリーに合った充電器を選ぶ

1)車両用バッテリーの種類

 現在 一般的に使用されている車両(自動車、バイク)用バッテリーの種類分けを下図に示しました。

 なおリチウムイオンバッテリーに関して、車両用の場合 ほぼLi-feバッテリーのみなので、他の種類のものは割愛しています、

2025-11-20車両用バッテリーの種類完成版01


2)バッテリーの種類による充電器にもとめられる条件

(1)
 開放型バッテリーと VRLA(密閉型)の充電制御は同じか?
 ⇒基本的な充電プロファイルは 似ているが完全に同じではない。 Flooded(開放型)と VRLA(AGM/GEL を含む)は、最終的に充電の適正電圧が少し異なります。

◇開放型の特徴
・やや 高めの電圧を許容する(14.8VくらいまでOK)。
・ガスが発生しても逃がせるため圧力の制限がない

◇VRLA(密閉型)の特徴
・密閉されているので ガス発生は厳禁 (*注1)
・そのため 充電電圧は低めに制御(14.2~14.4V前後)

■結論
→ 「開放型・VRLA 兼用」と明記された充電器を選んだ方が安全。 
ただし、安価な充電器は「開放型向けの強い充電」=「VRLAを過充電する危険」の傾向があり、「VRLA(密閉型)対応とうたっていても、その充電器の充電電圧値に注意が必要。


(2)VRLA(密閉型)バッテリーの種類と最適充電電圧

2025-11-20VRLA形式毎の最適充電電圧01

・AGM:高めの電圧でキッチリ充電する必要がある
・GEL:GEL だけは明確に最適充電電圧が低い。
    高電圧を加えると破損する。(14.4V以上で壊れる可能性がある。)(注2)
・VRLA(液量固定)=中間的で過充電に弱い

⇒AGMバッテリー、GELバッテリーの充電に際しては、<VRLA対応>以外に <AGM対応>、<GEL 対応>と明記された充電器を選ぶ必要がある。

*AGM対応、GEL対応と明記しながら、適切な充電制御をしていない安価なバッテリー充電器が数多くあるので注意が必要です。 この点については、本当に注意したほうがいいので、詳しく書きます。

(3)AGM、GEL対応をうたう安価な充電器の注意点
 巷には2~3千円程度の価格帯でMF、VRLA、AMG、GELバッテリー対応をうたうバッテリー充電器が販売されていますが、本当に注意が必要です。

 それぞれのバッテリー種類、特に“AGM”“GEL” それぞれに最適化した充電プロファイルを本当に実装している可能性は低いと考えるのが妥当です。
理由は以下に詳しく説明します。

① AGM / GEL に必要な「電圧制御」はそもそも別物

◇AGMに必要な電圧
・14.7V前後(温度補正あり) の“高めの吸収電圧”
・その後、13.6〜13.8Vのフロート
・電流が自然に減っていくまで適切に追従する必要あり
・過充電に弱い(VRLA共通)

◇GELに必要な電圧
・14.1〜14.3Vまでしか上げてはいけない
・それ以上はゲルを膨張・破壊する可能性がある
・しかも充電電流をゆっくり刻む必要がある

◇VRLA(液固定、一般MF)
・14.2~14.4V
・AGMよりやや低い
・GELよりは高い

②安価な充電器がやらない可能性が高いこと
AGM/GEL で違う吸収電圧を使い分けているか → ほぼ不可能
 数千円程度なチープな製品では、
・温度補正IC
・多段階充電プロファイル(bulk / absorption / float)
・バッテリー内部抵抗の監視
・GEL専用の電流制限
 ・・などを搭載するのはコスト的に厳しい。

⇒「対応」と書いてあるだけで、内部は単純な固定制御の可能性が高い。


③表記は「対応」でも実態は“対応していない”ケースが多い
安価モデルでありがちな実態:
●ケース1(*これは安価モデルに限らずほとんどの充電器にあてはまります):
「AGM/GEL対応」と書いているが、実際の出力は通常の充電電圧前後で固定
→ AGM にはやや不足
→ GEL には高い(寿命を縮める)

●ケース2:
温度補正(−0.02V/℃)が無い
→ 夏の車庫内で充電すると 過電圧 になる


④GELだけは特に危険
 GEL は「14.4V以上で劣化・破損しうる」という公式仕様があり、安い充電器のように電圧がフワつく機種は本当に危険。(注2)
 

⑤ 安価充電器は、開放型バッテリー以外は注意が必要
・安価機は14.4V前後もしくはそれより高めの単純定電圧。しかも印加電圧に個体差があり過充電気味になる可能性があり。
・過充電保護は簡易
・温度補正なし

・・・VRLA(密閉)や AGM、GEL の“寿命を長く保つ”という意味では不十分という位置づけになります。


⑥総合結論:
AGM、GEL対応をうたっていても、一般のVRLA、AGM、 GELごとにプロファイルを持った選択ができる充電器はほぼない。(私が調べた限り・・) *この事は(注2)の補足で再度詳しく書きます。 

⇒“使える”可能性はあるが、“正しく充電できる”とは限らない。


(4)リチウムイオン(LiFePO₄)バッテリー

 現在は、従来の鉛バッテリーの他に、「リチウムイオンバッテリー」が登場しました。
 Li-ion(NMC・NCA 等)、LiPo(リチウムポリマー)、LiFePO₄(LFP)等がありますが、車両用には LiFePO₄(LFP)バッテリーが使用されているので、ここではLi-Feバッテリーの説明をいたします。

特徴
・極めて軽い(鉛の 1/3〜1/5)
高い始動性能(電圧降下が少ない)
過放電に弱い
過充電にはさらに弱い
極寒に弱い

②充電特性
 LiFePO₄ は鉛用の充電方式と根本的に異なります。
最適充電電圧(車両用 LFP):14.0〜14.6V (メーカーにより “14.4V ± 0.2V” など)

◆絶対NG行為
15V以上:危険
デサルフェーション機能付き鉛用充電器
 → パルス電圧(16V 超える)で LFP を破損させる

③LiFePO₄バッテリー対応充電器が必要な理由
過充電の絶対禁止
低温充電禁止(0℃以下)
仕組みが鉛と異なるため、フロート電圧も違う

⇒ 必ず「LiFePO₄対応」の充電器を使用すること。

2025-11-22バッテリー種類ごとの比較01


次回記事では、ここで書かれた・・
(注1)VRLA(密閉型)の過電圧によるガス発生について
(注2)GELバッテリーの充電電圧について
について補足します。



-続く-

ps:本記事は自分の知識向上のために調べて作成したものです。 間違い等もあるかもしれません。ご承知おきください。

バッテリーと充電器のお話「Ⅲ章 国産高品質バッテリーと安価バッテリーの違い」

前回記事「Ⅱ-7.劣化原因から導かれる対策」の続きです。



<もくじ>
Ⅰ章 鉛バッテリーの構造
 1.バッテリーの構造概要
 2.極版について
   1)グリッド(格子)とは
   2)活物質(Active Material)とは
 3.セパレーターの構造と役割

Ⅱ章  鉛バッテリーが劣化する原因とそのメカニズム
 
1.サルフェーション(硫酸鉛PbSO₄の蓄積・結晶化・粗大化)
   1)サルフェーションの概要
   
2)サルフェーションの発生メカニズム
   
3)電圧が高いとサルフェーションが起きにくい理由

 2.グリッド(格子)の腐食・酸化(Ⅰ章と一部重複)
   1)
グリッド(格子)とは
   2)グリッド(格子)の主な役割
   3)材質と製造技術
   4)劣化との関係

 3.活物質の剥離・脱落(Ⅰ章と一部重複)
   1)活物質(Active Material)とは
   2)活物質(ペースト)の構成と役割
   3)ペーストの組成と製造
   4)活物質の反応メカニズム(放電時)
   5)活物質の劣化
   
 4.電解液の劣化・減少(電解質劣化)
        
1)電解液とは?
        
2)劣化・減少の主なメカニズム
        
3)対策のポイント

      4)硫酸濃度(比重)がバッテリーに与える影響


 5.セパレーター劣化とそのメカニズム
   1) セパレーター孔(ポア)の詰まり(Pore Blocking)
   2)セパレーターの酸化劣化(主に正極側)
   3) セパレーターの熱劣化・熱収縮
   4)活物質の脱落によるショートリスク増大(底部堆積物)
   5)セパレーターの極板密着性の変化(乾燥化)
   6)経年劣化での微小クラック・ピンホール
   7) どの極板を袋状セパレーターで包むかは“メーカーの設計思想で異なる”
   8)まとめ:セパレーターの劣化はバッテリー寿命の“最後の砦”

 6.温度・熱サイクルによる加速劣化
   1)化学反応速度の加速 
   2)電解液の蒸散・乾燥
   3)熱膨張・収縮による機械的ストレス
   4)過充電が起きやすくなる
   5)熱暴走(thermal runaway)のリスク増加
 
 7.劣化原因から導かれる対策

Ⅲ章 国産高品質バッテリと安価バッテリーの違い
 
1.バッテリー寿命に差が出る理由<GSユアサ  vs 台湾ユアサ vs 安価な中国製>
 2.サルフェーションの基本的な進行要因
 3.互換バッテリーでも違う内部構造
 4.偽物(粗悪コピー)バッテリーに要注意!
 5.(参考)購入バッテリーの選定方法(私の場合)


Ⅳ章 バッテリー充電器の違い

Ⅴ章 その他



・・徐々に書き上げていく予定なので、”もくじ”の内容は後日修正が入る可能性があります。




 Ⅰ章、Ⅱ章で、バッテリーの内部構造の違いとメンテナンス次第で、バッテリーの劣化速度がずいぶん違ってくることが理解できました。

 Ⅲではバッテリー・メーカーによって、どのような差が生じるかを説明します。


Ⅲ章 国産高品質バッテリと安価バッテリーの違い

1.バッテリー寿命に差が出る理由<GSユアサ  vs 台湾ユアサ vs 安価な中国製>

2025-11-18バッテリー寿命に差が出る理由01z

(補足)化学的な違い
◇鉛の純度と合金成分が寿命の核心。
 → 不純物が多いと「微弱電流の内部自己放電」が増加し、自己劣化が早まる。

◇正極グリッドの合金組成(Ca, Sn, Agなど)は腐食速度を左右。
 → GSユアサなどは特許合金で腐食を極端に抑制している。

◇ペースト活物質の粒度・添加剤配合(炭素・繊維など)がイオンの移動効率に関与。
 → 高品質バッテリーはこの微細制御が精密。


2.
サルフェーションの基本的な進行要因
 サルフェーションとは、電極表面に形成された硫酸鉛(PbSO₄)が、再充電で還元されずに硬化・結晶化する現象です。 
 進行速度や除去しやすさは、次の3要素に強く依存します。
◆鉛の純度と合金組成
◆活物質(ペースト)の構造と添加剤
◆セパレーターと電解液の品質

1)材質・構造による差異

2025-11-19材質構造による差異(国産vs安価)01


2)化学的な違いによる現象の差

2025-11-19科学的な違いによる差01
 結果として、同じ12.2V(開放電圧)放置でも国産高品質品では軽度の可逆的サルフェーション、安価な中国製では不可逆的硬化サルフェーションとなりやすい、という違いが生じます。


3)寿命・品質の違いに直結する理由
①GSユアサ製等の国産高品質バッテリーは、PbSO₄の生成と還元を繰り返しに強い材料設計で制御。
②中国製等の安価品は、化学的な「緩衝余裕」が少なく、一度発生したサルフェーションが蓄積・悪化しやすい。

⇒結果的に、国産高品質バッテリーはサルフェーション耐性が高く「長寿命化」、 安価品はサルフェーション進行が早く「短命化」する傾向が明確です。


4)まとめ

2025-11-19サルフェーションの基本的進行要因(国産vs安価)のまとめ01


3.互換バッテリーでも違う内部構造

 「同一サイズで互換性あり」とうたう中国製安価バッテリーでも、極板(グリッドおよび活物質)の
・大きさ(面積)
・厚さ
・枚数
 が違う場合が多いです。

以下に詳しく説明します。


1)外形寸法が同じでも内部構造は同じとは限らない

「互換性あり」とはあくまで、

・物理的サイズ(縦・横・高さ)
・電圧(12V)
・端子形状・極性配置
・定格容量(Ah)が近い

といった「外部仕様」が同等という意味です。内部構造までは保証されていません。

したがって、同じケースサイズでも内部構造(極板構成)はメーカーごとに異なります。


2)極板構成の違い(厚さ・枚数・密度)

2025-11-19極版構成の違い01


3)構造の違いがもたらす性能差

2025-11-19構造の違いがもたらす性能差01


 4)結果としての寿命差のメカニズム

 安価な中国製等のバッテリーは、極板を薄くして枚数を増やすことで、短期的には容量(Ah)を稼ぐ設計になっています。(ただし薄い極版でしかも枚数が少ないチープなものも・・)

しかし、薄い極板は、
・活物質の剥離(振動・熱で剥がれやすい)
・グリッドの腐食進行
・サルフェーションの発生速度増加
などが早く進行し、結果として寿命が短くなる(2年程度)傾向があります。


5)まとめ: 価格には明確な理由がある!

(1)国産高品質バッテリー:

高品質部材(高純度鉛・高性能ペースト)
製造コストが高い
価格が高い
寿命が長い(実際に6〜9年持つ例多数)


(2)安価なバッテリー:

安価な部材
材料コスト抑制
価格が安い
寿命が短い(1〜3年)

という 非常にシンプルな構造。


4.偽物(粗悪コピー)バッテリーに要注意!

 GSユアサの偽物が世に出回っているので要注意です。 GSユアサのHPでも定期的に注意喚起がされています。

 メーカー公表のバッテリー重量と同じ重量か否かで本物と偽物の違いを確認。本物と偽物な内部構造(材料含む)が違うため、同一重量でない場合が多い。

 その他、ケースの印字等の違いは、GSユアサのHPを確認ください。


5.(参考)購入バッテリーの選定方法(私の場合)

 今までセロー225WEのバッテリーは、各バッテリーの性能差は認識したうえで、台湾ユアサ製バッテリーを購入していました。

 今般、まだ劣化気味とはいえ、あと数ケ月程度は使えそうでしたが、ソロで長距離林道ツーリングに出かけることもあって、バッテリー交換をすることにしました。

 その際に試算したコスパ計算です。

2025-11-19バッテリー購入指標01

前提としてGSユアサ製は7.5年、台湾ユアサ製は4.5年、中国製バッテリーは2年の使用年数としています。

GSユアサは、過去使用してだいたい約8年、台湾ユアサは約5年、製造日換算で持っています。
私の場合、複数台のバイクを所有しているので、あまり乗らない放置期間があるものの、2~3ケ月に1度は満充電走行もしくは補充電するようにしています。

中国製の安価なバッテリーは使用したことがないので、ここではクチコミやレビューでよく聞く2年程度の寿命としています。

購入価格を想定使用年数で割って、単年度の費用を算出。

以前は台湾ユアサが安く販売されていたのですが、今般かなり高騰しています。

結果、GSユアサ>台湾ユアサ>中国製安価バッテリーの順で、GSユアサバッテリーが一番コスパのいいバッテリーになりました。

短いスパンでバイクの売却を考えていないので、今回はGSユアサのYTZ7Sを購入しました。

以上
-続く-

ps:本記事は自分の知識向上のために調べて作成したものです。 間違い等もあるかもしれません。ご承知おきください。


2025-11-19各バッテリー01



バッテリーと充電器のお話「Ⅱ章 7.劣化原因から導かれる対策」

前回記事「Ⅱ-6.温度・熱サイクルによる加速劣化」の続きです。



<もくじ>
Ⅰ章 鉛バッテリーの構造
 1.バッテリーの構造概要
 2.極版について
   1)グリッド(格子)とは
   2)活物質(Active Material)とは
 3.セパレーターの構造と役割

Ⅱ章  鉛バッテリーが劣化する原因とそのメカニズム
 
1.サルフェーション(硫酸鉛PbSO₄の蓄積・結晶化・粗大化)
   1)サルフェーションの概要
   
2)サルフェーションの発生メカニズム
   
3)電圧が高いとサルフェーションが起きにくい理由

 2.グリッド(格子)の腐食・酸化(Ⅰ章と一部重複)
   1)
グリッド(格子)とは
   2)グリッド(格子)の主な役割
   3)材質と製造技術
   4)劣化との関係

 3.活物質の剥離・脱落(Ⅰ章と一部重複)
   1)活物質(Active Material)とは
   2)活物質(ペースト)の構成と役割
   3)ペーストの組成と製造
   4)活物質の反応メカニズム(放電時)
   5)活物質の劣化
   
 4.電解液の劣化・減少(電解質劣化)
        
1)電解液とは?
        
2)劣化・減少の主なメカニズム
        
3)対策のポイント

      4)硫酸濃度(比重)がバッテリーに与える影響


 5.セパレーター劣化とそのメカニズム
   1) セパレーター孔(ポア)の詰まり(Pore Blocking)
   2)セパレーターの酸化劣化(主に正極側)
   3) セパレーターの熱劣化・熱収縮
   4)活物質の脱落によるショートリスク増大(底部堆積物)
   5)セパレーターの極板密着性の変化(乾燥化)
   6)経年劣化での微小クラック・ピンホール
   7) どの極板を袋状セパレーターで包むかは“メーカーの設計思想で異なる”
   8)まとめ:セパレーターの劣化はバッテリー寿命の“最後の砦”

 6.温度・熱サイクルによる加速劣化
   1)化学反応速度の加速 
   2)電解液の蒸散・乾燥
   3)熱膨張・収縮による機械的ストレス
   4)過充電が起きやすくなる
   5)熱暴走(thermal runaway)のリスク増加
 
 7.劣化原因から導かれる対策

Ⅲ章 国産GSユアサ、台湾ユアサ、安価な中華バッテリーの違い


Ⅳ章 バッテリー充電器の違い

Ⅴ章 その他


・・徐々に書き上げていく予定なので、”もくじ”の内容は後日修正が入る可能性があります。



Ⅱ-7.劣化原因から導かれる対策


 Ⅱ章では、「鉛バッテリーが劣化する原因とそのメカニズム」について解説しました。
劣化の仕組みを理解することは、バッテリーをより長く使い続けるための実践的な対策を取ることにつながるだけでなく、バッテリー選びの判断基準を明確にするという重要な意味を持つものと考えます。

 ここではⅡ章を踏まえ、劣化原因から逆算した実際的な対策 をまとめます。

1)サルフェーション(硫酸鉛の結晶化・硬化)を抑える
<対策>
(1)低電圧状態での放置を避ける(深放電をさせない)
 ・開放電圧12.4V以下の状態を避ける。
 ・理想は 12.6V以上 を維持すること。

(2)過充電を避ける
 ・バッテリーの種類(MF/VRLA/開放型)に適合した充電器を使用する。
 ・安価な過充電しやすい充電器は避ける。

(3) サルフェーションに強い高品質バッテリーを選ぶ
 ・高純度鉛・適切なペースト添加剤・均質なグリッドを使用した製品ほど、サルフェーションに対する耐性が強い。

(4)初期のサルフェーション段階で進行を止める
 ・開放電圧12.6V以上を維持して、硫酸鉛が硬化する前に戻せる状態に保つ。
 ・電解液濃度の維持(過充電を避ける、開放型は適切に補水)。

※硫酸濃度が高すぎても低すぎてもサルフェーションリスクは増える。


2)グリッド(格子)の腐食・酸化を抑える
<対策>
(1) 過充電を避け、酸素発生量を抑える
 ・過充電はグリッド腐食を加速する最大要因のひとつ。

(2) 高温環境を避ける
 ・高温は腐食速度と自己放電を劇的に加速する。
 ・現実には完全回避は難しいが、「夏季の直射日光下での極端な放置」を避けるだけでも効果あり。

(3) 低品質バッテリーを避ける
 ・低純度鉛合金は腐食が早く、グリッドが痩せやすい。
 ・高品質なグリッド(高純度Ca合金など)を採用したバッテリー を選ぶことが有効。


3)活物質(ペースト)の劣化を抑える
<対策>
(1) サルフェーションの抑制(前項と同じ)
 ・硫酸鉛の結晶化は活物質の硬化・脆化に直結する。

(2) 乾燥・剥離を防ぐため、電解液の減少を防止
 ・過充電は電解液減少→活物質乾燥→剥離につながる。
 ・急速充電・急速放電を繰り返す使い方もペーストを傷める。

(3)振動を軽減する
 ・バイクの場合は困難・・・。
 ・高性能な足回りパーツ??(^^; 現実性?

(4) 活物質品質(ペースト品質)の良いバッテリーを使用する 
 ・粒度の均一性
 ・適切な膨張材・導電材の配合
 ・ペースト密着性
 これらは寿命に大きく影響するため、品質差が出やすい。


4)適正な硫酸濃度(比重)を保つ
<対策>
(1)過充電による電解液減少を避ける(VRLAでも同様)
 ・電解液減少は硫酸濃度変化 → サルフェーション・グリッド腐食・活物質乾燥の全てを悪化させる。

(2) 開放型バッテリーは適切に補水する
 ・補水不足は比重上昇 → 腐食促進
 ・補水しすぎは比重低下 → 始動性悪化

(3)適正比重かつ耐久性の高いバッテリーを選ぶ
 ・始動性に優れる比重(1.27〜1.28)
 ・グリッド合金の耐腐食性
 ・ペースト保持力
 これらを備えた高品質バッテリーは寿命が長い。


<総括>
 最後に、鉛バッテリーの劣化要因は相互に関連しているため、一つの対策ではなく複数の対策を組み合わせて管理することが重要だと考えます。
 特に「電圧管理」「過充電防止」「品質の良いバッテリー選び」の3つは、ユーザー側で最も効果が高い対策です。


-続く-

ps:本記事は自分の知識向上のために調べて作成したものです。 間違い等もあるかもしれません。ご承知おきください。

2025-11-17バッテリーと女性01z




バッテリーと充電器のお話「Ⅱ章 6.温度・熱サイクルによる加速劣化」

前回記事「Ⅱ-4.電解液の劣化・減少(電解質劣化)」の続きです。



<もくじ>
Ⅰ章 鉛バッテリーの構造
 1.バッテリーの構造概要
 2.極版について
   1)グリッド(格子)とは
   2)活物質(Active Material)とは
 3.セパレーターの構造と役割

Ⅱ章  鉛バッテリーが劣化する原因とそのメカニズム
 
1.サルフェーション(硫酸鉛PbSO₄の蓄積・結晶化・粗大化)
   1)サルフェーションの概要
   
2)サルフェーションの発生メカニズム
   
3)電圧が高いとサルフェーションが起きにくい理由

 2.グリッド(格子)の腐食・酸化(Ⅰ章と一部重複)
   1)
グリッド(格子)とは
   2)グリッド(格子)の主な役割
   3)材質と製造技術
   4)劣化との関係

 3.活物質の剥離・脱落(Ⅰ章と一部重複)
   1)活物質(Active Material)とは
   2)活物質(ペースト)の構成と役割
   3)ペーストの組成と製造
   4)活物質の反応メカニズム(放電時)
   5)活物質の劣化
   
 4.電解液の劣化・減少(電解質劣化)
        
1)電解液とは?
        
2)劣化・減少の主なメカニズム
        
3)対策のポイント

      4)硫酸濃度(比重)がバッテリーに与える影響


 5.セパレーター劣化とそのメカニズム
   1) セパレーター孔(ポア)の詰まり(Pore Blocking)
   2)セパレーターの酸化劣化(主に正極側)
   3) セパレーターの熱劣化・熱収縮
   4)活物質の脱落によるショートリスク増大(底部堆積物)
   5)セパレーターの極板密着性の変化(乾燥化)
   6)経年劣化での微小クラック・ピンホール
   7) どの極板を袋状セパレーターで包むかは“メーカーの設計思想で異なる”
   8)まとめ:セパレーターの劣化はバッテリー寿命の“最後の砦”

 6.温度・熱サイクルによる加速劣化
   1)化学反応速度の加速 
   2)電解液の蒸散・乾燥
   3)熱膨張・収縮による機械的ストレス
   4)過充電が起きやすくなる
   5)熱暴走(thermal runaway)のリスク増加
 
 7.劣化原因から導かれる対策

Ⅲ章 国産GSユアサ、台湾ユアサ、安価な中華バッテリーの違い


Ⅳ章 バッテリー充電器の違い

Ⅴ章 その他


・・徐々に書き上げていく予定なので、”もくじ”の内容は後日修正が入る可能性があります。




Ⅱ-6.温度・熱サイクルによる加速劣化

 鉛バッテリーは「低温に弱い」というイメージがありますが、寿命を縮める最大の要因は高温です。

 高温・熱サイクル(高温→冷却→再加熱)によって起こる劣化は、以下の 5 つのメカニズムでほぼ説明できます。

1)化学反応速度の加速 → 腐食・サルフェーション・自己放電が増加
 化学反応は温度が10℃上がると、反応速度が約2倍になると言われます。(←*Q10則、または「ファントホッフの法則」 とも呼ばれる経験則)

つまり、
・20℃ → 30℃:劣化速度 約2倍
・20℃ → 40℃:劣化速度 約4倍
・20℃ → 50℃:劣化速度 約8倍

これにより、

①正極グリッドの腐食が急速に進む(寿命の本丸)
 高温ほど、正極の PbO₂ と電解液の酸性環境で、<格子(金属グリッド)が腐食 → 細る → 割れる> 速度が急上昇。

・・ほぼ全ての鉛バッテリー寿命の「最終原因」はこれ。

②サルフェーション( PbSO₄ 結晶化)の進行が加速
 高温であっても放電状態で放置されたり、不完全充電が続いたりすると、結晶が巨大化・硬化しやすい。

特に熱サイクルで、
結晶→膨張(高温)
冷却→結晶固化(低温)
の繰り返しにより 結晶が硬く育つ → 回復困難に。

③自己放電(勝手に電圧が落ちる)が増える
 高温ほど電子移動が活発になるため、自己放電速度が増加。
結果、
高温の車両・バイク → 数日放置で電圧が目に見えて下がる
夏場に突然バッテリー上がりが多い
という現象が起きる。


2)電解液の蒸散・乾燥 → 液量低下 → 極板の露出・劣化加速
 温度が高いほど電解液(希硫酸)の蒸気圧が上がり、蒸散またはガス化が増える。
VRLA(密閉型)でも内部で水が分解し、再結合しきれない分は 微量ながら失われていく。

その結果:
① AGM・PEセパレーターが乾燥 → 負極が「乾き気味」に。
負極の硫酸イオン移動が悪化
内部抵抗上昇
容量低下
過充電時の温度上昇 → さらに乾燥 → 悪循環

② 電解液量の低下 → 極板の上部が露出 → 酸化・崩壊 (開放型だと典型例。)


3)熱膨張・収縮による機械的ストレス → 極板・セパレーターが疲労

バッテリー内部は運転中と停止時で、
30〜60℃(エンジンルーム)
10〜40℃(外気)
のように温度変動(熱サイクル)を受け続ける。

⇒<その結果>
① 極板ペーストが膨張収縮 →「剥離・脱落(シェディング)」
 特に正極活物質 (PbO₂) は硬く、熱サイクルに弱いため振動と合わせてどんどん剥がれる。

② セパレーターが膨張~収縮を繰り返す
 → 微細孔の変形・疲労・硬化

 グリッド(格子)が疲労 → 微細なクラック
 特に正極グリッドの酸腐食と合わさると、クラックから一気に腐食が進行して折損へ。


4)過充電が起きやすくなる → 温度上昇の“悪循環”が発生

◇バッテリーの内部温度が上がると、
 ・内部抵抗が下がる
 ・充電電流が流れやすくなる
→ 結果として「過充電気味」になりやすい。

◇過充電になると、
電解液の電気分解(H₂/O₂発生)
水分減少(ドライアウト)
正極グリッド腐食の加速
負極の乾燥・硫酸鉛付着
という連鎖が一気に進む。

☆VRLAバッテリーが高温に弱い理由のひとつ。


5)熱暴走(thermal runaway)のリスク増加
 特に VRLA(密閉型)では、
温度上昇 → 内部抵抗↓ → 充電電流↑
充電電流↑ → 発熱↑ → 温度↑
温度↑ → さらに内部抵抗↓
という「負のフィードバック」が起きやすく、温度上昇が止まらなくなる危険がある。

これはバイク・車より UPS(無停電電源)などで顕著だが、車両でも高温下で似た現象が起こり得る。


6)
まとめ
高温は、バッテリー内部のすべての劣化反応を“加速スイッチ”のようにオンにする。

熱サイクルは、
部材(極板・格子・セパレーター)に“疲労”を蓄積させる。

この2つの組み合わせで、
鉛バッテリーは急速に寿命を縮めます。

以上
                               
-続く-

ps:本記事は自分の知識向上のために調べて作成したものです。 間違い等もあるかもしれません。ご承知おきください。

2025-11-16暑いくまもんバッテリー




 
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