どんどんマニアックな世界の記事になってきました。
マニアックな内容に比例して、どんどんこのブログの閲覧者数が減っています。 ハハハハ・・・(´;ω;`)
いいんだもん・・(´?д?;`)
前回記事では、エアインダクションシステムの概要、目的、メカニズムをひととおり説明しました。
おさらいです。
【エアインダクションシステム (AIS)とは?】
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前回記事では、エアインダクションシステムの概要、目的、メカニズムをひととおり説明しました。
おさらいです。
【エアインダクションシステム (AIS)とは?】
排気ポートに新鮮な空気(大気)を送り込み、排気中の未燃焼ガス(HCやCO)を酸化させて有害物質を減らす装置。さらに簡単に表現すると「排気ガスをキレイにするために、空気を後から混ぜて酸化させる装置」。
・・エンジンの排気には、燃え残ったガス(未燃焼ガス)が少量含まれています。 AISは、排気の脈動(負圧)を利用して大気中の空気を吸い込み、排気ポートに流入させます。
空気に含まれる酸素によって、未燃焼ガスを排気ポートやエキパイ内で酸化(再燃焼)させ、有害成分を低減します。
前章では、このエアインダクションシステムの動作タイミングも説明しました。
↓
<AISは、排気側に排気脈動による負圧がかかり、かつエアカットバルブが開いているときだけ、リードバルブが開いて間欠的に空気が吸い込まれる仕組みです。>
今回は、そのメカニズムのうち、まずはエアカットバルブ及びそれに関連する部分にスポットを当ててみたいと思います。
Web上で見つけられるAIS(エアインダクションシステム)に関する情報。
ほとんどが「AIキャンセル」、「エアインダクションシステムを取りはずした」、「AIキャンセルのための市販品を取り付けた」etc の類のものばかり。
キャンセルの為の目的とか説明内容に関しては、エアインダクションシステムの構造やメカニズムをあまり理解できていないのかな?と思われる情報がほとんどでした。
例えば・・・
(その1)
H社製バイクAに関する情報は、発信者が違うサイトでありながら、AIS:エアインダクションシステム=(イコール)=エアカットバルブというニュアンスで書かれていたり、エアインダクションシステムとブローバイガス還元装置(PCV:Positive Crankcase Ventilation)を混同し、違いがわかっていなかったり。
”H社製バイクAのAIキャンセル方法” を最初に書いた人のWEB情報を見て、その情報が拡散されているのかな?(^^;
◎<AIS:エアインダクションシステム=(イコール)=エアカットバルブ>は、間違い!
⇒正しくは⇒エアインダクションシステムの重要な構成要件は、AIS内の「エアカットバルブ」と「リードバルブ」。 エアカットバルブとリードバルブが双方同時に開いた時のみ機能する(排気ポートへエアが流れる)。 上記間違いは、エアカットバルブの仕組みを理解していないため。
◎<エアインダクションシステムにブローバイガス還元装置を含む解釈>は、間違い!
⇒おそらくこのような情報をあげていらっしゃる方は、エアインダクションシステムもPCV:ブローバイガス還元装置の区別もついていないのだと思われます。
AIS(エアインダクションシステム)とブローバイガス還元装置(PCV:Positive Crankcase Ventilation)は、排ガス規制対策の一環として共に存在していますが、基本的には「別系統の装置」であり、構造上も機能上も 直接的な相互影響はありません。
相違点を表にまとめてみました。
(その2)
Y社製バイクBのエアインダクションシステムは、減速時のみに機能している。
◎「Y社製バイクBは・・」は、誤解を招く。
⇒Y社製バイクBにかかわらず、どのバイクメーカーにおいてもエアインダクションシステムの動き/メカニズムは同じで、AIS内のエアカットバルブとリードバルブの制御で機能しています。 (車種によってエアカットバルブの負圧の取る場所とか違う場合がありますが、基本のメカニズムは同じです。この部分については、後々取り上げます。)
◎「減速時(のみ)に機能している。」
⇒この部分は、車種問わず、ほとんどの方が誤解しているように見受けられました。エアインダクションシステムは、エアカットバルブとリードバルブ双方が開いた時のみ排気ポートにエアが流れるように制御されています。
前日の記事に書かかれている通りです。
エアカットバルブの閉まるメカニズムについて再度確認したいと思います。
1)エアカットバルブの構造と役割
エアカットバルブ(エアカットバルブアセンブリ)は、インシュレーター(インテークマニホールド)の負圧を利用して動作するダイヤフラム式の制御バルブです。
主に減速時のアフターファイア防止が目的。
2) 負圧発生のメカニズム
①減速時(スロットル閉じ)、ライダーがスロットルを急に戻す(閉じる)と、スロットルバルブ(バタフライバルブ)が閉じてエアの流入が絞られる。
↓②しかしピストンの動作は続いており、シリンダー内では吸引動作が起こる。
↓③よって、インシュレーター(インテークマニホールド)内に強い負圧が発生する。
↓
④この負圧が、負圧ホースを通じてエアカットバルブのダイヤフラムを引っ張る。
↓↓
④この負圧が、負圧ホースを通じてエアカットバルブのダイヤフラムを引っ張る。
⑤ダイヤフラムが引かれると、エアバルブが閉じて空気の流入を遮断する。
↓⑥この結果、排気側への空気供給が止まり、アフターファイアを防止する。
+
さらに、AIS装置内では空気(外気)が遮断され、排気脈動によりニードルバルブは開こうとするが、ニードルバルブは閉じたままで、排気ポートへがエアが流れることはない。
下の図は、エアカットバルブに負圧が発生するメカニズムをしめしたものです。
このようにエアカットバルブは、インシュレーター(インテークマニホールド)内に生じる負圧によって閉じられ、+
さらに、AIS装置内では空気(外気)が遮断され、排気脈動によりニードルバルブは開こうとするが、ニードルバルブは閉じたままで、排気ポートへがエアが流れることはない。
下の図は、エアカットバルブに負圧が発生するメカニズムをしめしたものです。
①アフターファイアを防止する。
②エアインダクションシステムにおいては、エアクリーナーボックスからの空気(大気)がAIS内に流れ込むのを遮断する。(リードバルブが閉じられ、排気ポートへ空気は流れない。)
多くの車種では、AISのエアカットバルブの開閉に、インシュレーター(インテークマニホールド)内の負圧を利用しています。(ホンダ車の一部車種では、キャブレター内部の負圧を利用しています。後日補足します。)
AIS(エアインダクションシステム)は、1998年以降 日本国内で二輪車への平成10年排出ガス規制が適用開始され、これにより、各メーカーが導入し始めました。
(ここからお話は少々AISから外れますが、ご容赦ください。)
ところが、AISが装着される以前にも、インシュレーターにこのニップルがついているバイクが多数ありました。
そしてそのニップルには、キャップで蓋がされています。
このニップルは何のためについているんでしょう?
蓋をするぐらいだったら、なくてもいいんじゃないの??

詳しく調べました。('▽'*)ニパッ♪
【インシュレーターのニップルは何のため?】
- インシュレーターのニップルの主な用途-
1. 負圧測定ポート・・整備時にマノメーター(負圧計)を接続し、キャブレターの同調(マルチシリンダー車)や、吸気負圧の確認を行うための診断用ポートとして使われる。
(単気筒でも整備中の燃調や吸気状態の確認に用いることもあり。)
2. AIS接続ポート・・AIS装着モデルでは、ここにホースを接続してエアカットバルブに負圧を供給。
3. 外部装置の制御用(例:バキュームペットコック)・・一部車種では、負圧式フューエルコックや、二次エア制御バルブの作動源として使用されることがある。
4. 排気ガス試験時の制御信号源・・車検や型式認証試験などで、正確な吸気圧変化のデータ取得が必要な場面に使用される場合もある。
- なぜ「最初から無くてもいい」わけではないのか? -
インシュレーターのニップルは、バイクにとって整備性・拡張性を持つユーティリティ端子のような存在。
設計段階で複数の用途に転用可能な構造にしておくことで、同一エンジンを使う複数モデル間での部品共用性を高められる。
使われない場合は単にゴムキャップで塞ぐだけなので、製造コストもほとんど増えない。
それでは・・
【このニップルに蓋がなかったり、AISへのホースが裂けていたら、(開放されていたら)どうなるの??】
前述の<エアカットバルブに負圧が発生するメカニズム>を理解できたら、おのずと回答が導き出されますよね。(^_-)-☆
① 吸気漏れによる混合気の希薄化・・本来密閉されているべき吸気経路に外気が入ることで、混合気が極端に薄くなり、失火やアイドリング不安定を招く(2次エアの吸入)。 → アイドリングが上がったり不整になる。
②圧縮失火や失火燃焼が起こると、吸気側へ火が戻ることがあり、ニップルが開放されていると逆流経路になる。 → バックファイア(吸気側への炎の逆流)を誘引。
③空気の通り道ができて排気系に未燃焼ガスが送られやすくなる・・シリンダー内で不完全燃焼が起こると、その未燃焼ガスが排気に回り、排気温が高いときに発火する可能性がある。 → アフターファイア(マフラー側の爆発)が起きやすくなる。
④本来の負圧バランスが崩れるため、負圧制御バルブやAIS等の作動にも影響を及ぼすことがある(装備していれば)。 → 負圧関連装置の不調や誤作動の原因にもなる。
AISにおいては、AISへのホースが裂けていたら、AIS内に吸気の負圧が発しないのでエアカットバルブが閉まらず、排気脈動で排気ポートの負圧があるすべての時において排気ポートへエアが間欠的に流入する。
*インシュレーターのニップルを開放したままにしておくと、吸気漏れによる不調だけでなく、排気系での異常燃焼(アフターファイア)、逆火(バックファイア)他諸々のリスクが確実に高くなります。
よって、インシュレータニップルを未使用の場合は、必ず耐熱性のある専用ゴムキャップでしっかりと密閉することが重要です。
文中、何度か出てきましたが、エアカットバルブへの負圧は、多くはセローのようにインシュレーターニップルから取り出していますが、例外もあるようです。
今回はこのあたりで・・。
-続く-
文中、何度か出てきましたが、エアカットバルブへの負圧は、多くはセローのようにインシュレーターニップルから取り出していますが、例外もあるようです。
今回はこのあたりで・・。
-続く-
*キャブレター車におけるエアインダクションシステム(AIS)の説明です。