前回記事の続きです。



























<もくじ>
2.グリッド(格子)の腐食・酸化(Ⅰ章と一部重複)
1)グリッド(格子)とは
2)グリッド(格子)の主な役割
3)材質と製造技術
4)劣化との関係
3.活物質の剥離・脱落(Ⅰ章と一部重複)
1)活物質(Active Material)とは
4.電解液の劣化・減少(電解質劣化)
1)電解液とは?
2)劣化・減少の主なメカニズム
3)対策のポイント
4)硫酸濃度(比重)がバッテリーに与える影響
Ⅲ章 国産高品質バッテリと安価バッテリーの違い
1.バッテリー寿命に差が出る理由<GSユアサ vs 台湾ユアサ vs 安価な中国製>
2.サルフェーションの基本的な進行要因
3.互換バッテリーでも違う内部構造
4.偽物(粗悪コピー)バッテリーに要注意!
5.(参考)購入バッテリーの選定方法(私の場合)
Ⅳ章 バッテリー充電器の違い
1.バッテリーにあった充電器を選ぶ
1)車両用バッテリーの種類
2)バッテリーの種類による充電器にもとめられる条件
(注1)VRLA(密閉型)の過電圧によるガス発生について
(注2)GELバッテリーの充電電圧と充電器について
2.スマート充電器か否か
1)スマート充電器とは
2)特徴
3)3段階充電(Bulk → Absorption → Float)の目的と制御
4)バルク(Bulk)充電





























Ⅳ-5.7-4)周波数について
前回記事の”デューティ比”の項で、周波数についても少し触れました。
おさらいも含め、今回 周波数について説明します。
本当に効果があるのでしょうか?
ここでは論拠を明確にするため、基本定義を再提示します。
A)基本定義(これが全ての出発点)
① 1周期(T)
②周波数(f)
*単位:Hz(1秒あたりの周期数)
③ デューティ比(D)
B)2つのパルスの例
「1秒間に15000回のパルス!」とうたっている充電器があるとします。
「すごい、なんだかサルフェーションに効きそうだなあ」と思う人が多いのではないでしょうか。 メーカーもそれを狙っているんでしょうが・・
二つのパルスを例にします。
①TON(パルス幅):1 µs 、TOFF:65µs
・1周期(T)=1 + 65 = 66 µs
①、②ともに周波数は同じ15KHz。(1秒間に15000回のパルス)。
「周波数」だけ見ても「パルス幅は全く分からない」、「デューティ比も全く分からない」。
周波数は「繰り返しの速さ」しか表していません。
デサルフェーションの効果は、周波数だけでは全く無意味なのです。
C)パルスとエネルギーの関係<デサルフェーションの核心>
(以下は概念を示す式です。)
①1周期あたりの投入エネルギー E₁ は:
D)化学反応から見た周波数の効果
ここにパルス周波数帯の区分をしめします。
下図は、低周波数帯と高周波数帯の充電器仕様を例としました。
◇低周波パルス(意味を持つ)
◇高周波パルス(パルスの意味が薄れる)
*周期が化学反応の時間スケールより十分短いと、パルスは「存在していても、反応には見えない」。
よくある誤解:「@@@@@回も叩けばサルフェーションが砕ける」!?
E)高周波パルスを”売り”にするメーカーがあるのはなぜ?
①高周波パルスは、現代の充電器ならハードウェアの追加なしに、ソフトの制御だけで簡単に実現できてしまう。 新規コスト不要。
②高周波パルス(「1秒間に@@@@@回パルス!)と書けば、消費者にサルフェーションに効果があるように思わすメーカー側のマーケティング。
<①の補足>
①-1)現代の充電器には、ほぼ必ず次のものが備わっています。
* コード(ファームウェア)を書き換えるだけで、回路は一切変えていない。
∴高周波パルスだけでサルフェーションが除去できると思わす謳い文句を盲目的に信じないように。 内部抵抗が改善されたレビューのほとんどは、単に他の要因の充電効果があったから。
以上、自分の知識向上のために 長々とこのバッテリーと充電器のお話を書いてきました。
まだその他に書きたかったこともあるのですが、普段のブログのネタがわんさか滞留してしまっているので、いったんこのシリーズは終了します。
「その他」は、また気が向いた時に追記するようにします。
<もくじ>
Ⅰ章 鉛バッテリーの構造
1.バッテリーの構造概要
1.バッテリーの構造概要
2.極版について
1)グリッド(格子)とは
2)活物質(Active Material)とは
3.セパレーターの構造と役割
Ⅱ章 鉛バッテリーが劣化する原因とそのメカニズム
1.サルフェーション(硫酸鉛PbSO₄の蓄積・結晶化・粗大化)
1)グリッド(格子)とは
2)活物質(Active Material)とは
3.セパレーターの構造と役割
Ⅱ章 鉛バッテリーが劣化する原因とそのメカニズム
1.サルフェーション(硫酸鉛PbSO₄の蓄積・結晶化・粗大化)
1)サルフェーションの概要
2)サルフェーションの発生メカニズム
3)電圧が高いとサルフェーションが起きにくい理由
2)サルフェーションの発生メカニズム
3)電圧が高いとサルフェーションが起きにくい理由
2.グリッド(格子)の腐食・酸化(Ⅰ章と一部重複)
1)グリッド(格子)とは
2)グリッド(格子)の主な役割
3)材質と製造技術
4)劣化との関係
3.活物質の剥離・脱落(Ⅰ章と一部重複)
1)活物質(Active Material)とは
2)活物質(ペースト)の構成と役割
3)ペーストの組成と製造
4)活物質の反応メカニズム(放電時)
5)活物質の劣化
4.電解液の劣化・減少(電解質劣化)
1)電解液とは?
2)劣化・減少の主なメカニズム
3)対策のポイント
4)硫酸濃度(比重)がバッテリーに与える影響
5.セパレーター劣化とそのメカニズム
1) セパレーター孔(ポア)の詰まり(Pore Blocking)
2)セパレーターの酸化劣化(主に正極側)
3) セパレーターの熱劣化・熱収縮
4)活物質の脱落によるショートリスク増大(底部堆積物)
5)セパレーターの極板密着性の変化(乾燥化)
6)経年劣化での微小クラック・ピンホール
7) どの極板を袋状セパレーターで包むかは“メーカーの設計思想で異なる”
8)まとめ:セパレーターの劣化はバッテリー寿命の“最後の砦”
6.温度・熱サイクルによる加速劣化
7.劣化原因から導かれる対策
1)化学反応速度の加速
2)電解液の蒸散・乾燥
3)熱膨張・収縮による機械的ストレス
4)過充電が起きやすくなる
5)熱暴走(thermal runaway)のリスク増加
7.劣化原因から導かれる対策
Ⅲ章 国産高品質バッテリと安価バッテリーの違い
1.バッテリー寿命に差が出る理由<GSユアサ vs 台湾ユアサ vs 安価な中国製>
2.サルフェーションの基本的な進行要因
3.互換バッテリーでも違う内部構造
4.偽物(粗悪コピー)バッテリーに要注意!
5.(参考)購入バッテリーの選定方法(私の場合)
Ⅳ章 バッテリー充電器の違い
1.バッテリーにあった充電器を選ぶ
1)車両用バッテリーの種類
2)バッテリーの種類による充電器にもとめられる条件
(注1)VRLA(密閉型)の過電圧によるガス発生について
(注2)GELバッテリーの充電電圧と充電器について
2.スマート充電器か否か
1)スマート充電器とは
2)特徴
3)3段階充電(Bulk → Absorption → Float)の目的と制御
4)バルク(Bulk)充電
5)吸収(Absorption )充電
6)高品質なスマート充電器と安価なCV充電器の違い
3.維持充電(トリクル充電/フロート充電)について
1)フロート充電/トリクル充電の仕組み
4.充電時の電圧について
1)吸収充電で12.72V(理論満電)より高い 14.2~14.7V を印加する理由
2)維持充電において、前工程の吸収電圧から13.6V前後に降下して印加する理由
3)6V鉛バッテリーの場合の適正電圧値
6)高品質なスマート充電器と安価なCV充電器の違い
3.維持充電(トリクル充電/フロート充電)について
1)フロート充電/トリクル充電の仕組み
2)なぜフロート/トリクルの名称があいまいに使われるのか?
3)維持充電の図形化(例)
4)OptiMateの維持充電について
5)補足:維持充電時の電流について
4)OptiMateの維持充電について
5)補足:維持充電時の電流について
4.充電時の電圧について
1)吸収充電で12.72V(理論満電)より高い 14.2~14.7V を印加する理由
2)維持充電において、前工程の吸収電圧から13.6V前後に降下して印加する理由
3)6V鉛バッテリーの場合の適正電圧値
5.パルス充電について
1)パルス充電の目的
1)パルス充電の目的
2)パルス充電の基本的な仕組み
3)パルスの効果
4)実際の充電器ではどう使われているか
5)パルス充電の注意点(万能ではない)
6)概要のまとめ
7)パルスの種類と効果について
7-1)パルス幅について
7-1)パルス幅について
7-2)印加電圧について
7-3)デューティ比について
7-4)周波数について
Ⅴ章 その他
・・徐々に書き上げていく予定なので、”もくじ”の内容は後日修正が入る可能性があります。
7-3)デューティ比について
7-4)周波数について
Ⅴ章 その他
・・徐々に書き上げていく予定なので、”もくじ”の内容は後日修正が入る可能性があります。
Ⅳ-5.7-4)周波数について
前回記事の”デューティ比”の項で、周波数についても少し触れました。
おさらいも含め、今回 周波数について説明します。
(1) 周波数とは
周波数とは、1秒間に何回、ON/OFF(パルス周期)が繰り返されるか。
*周波数 = 繰り返し回数 / 秒
*周波数 = 繰り返し回数 / 秒
・1秒に1回→1 Hz
・1秒に10回→10 Hz
・1秒に1000回→1 kHz
周波数そのものは、
・電圧でもない
・電圧でもない
・エネルギーでもない
・パルス幅でもない
⇒「繰り返しの速さ」を表す“時間構造の指標”。
(2)高周波パルスは、デサルフェーションに効果があるのか?
巷には「一秒間に@@@@@回のパルス」でサルフェーションを除去できるような錯覚を招く謳い文句のコマーシャルや、高周波パルスでデサルフェーション効果を力説するステマ(ステルスマーケット)のユーチューブ動画が見受けられます。
(2)高周波パルスは、デサルフェーションに効果があるのか?
巷には「一秒間に@@@@@回のパルス」でサルフェーションを除去できるような錯覚を招く謳い文句のコマーシャルや、高周波パルスでデサルフェーション効果を力説するステマ(ステルスマーケット)のユーチューブ動画が見受けられます。
本当に効果があるのでしょうか?
ここでは論拠を明確にするため、基本定義を再提示します。
A)基本定義(これが全ての出発点)
① 1周期(T)
T = TON + TOFF
*TON:パルス幅(ON時間)、TOFF:OFF時間
②周波数(f)
f = 1 / T
*単位:Hz(1秒あたりの周期数)
③ デューティ比(D)
D = TON / T
*通常は%表示:D[%] = (TON / T) × 100
B)2つのパルスの例
「1秒間に15000回のパルス!」とうたっている充電器があるとします。
「すごい、なんだかサルフェーションに効きそうだなあ」と思う人が多いのではないでしょうか。 メーカーもそれを狙っているんでしょうが・・
二つのパルスを例にします。
①TON(パルス幅):1 µs 、TOFF:65µs
・1周期(T)=1 + 65 = 66 µs
・周波数(f) =1 / 66µs ≈ 15.15 kHz
・ デューティ比(D)=1 / 66 ≈ 1.5 %
②TON(パルス幅):30µs 、TOFF:36µs
・ デューティ比(D)=1 / 66 ≈ 1.5 %
②TON(パルス幅):30µs 、TOFF:36µs
・1周期(T)=30 + 36 = 66 µs
・周波数(f) =1 / 66µs ≈ 15.15 kHz
・ デューティ比(D)=30 / 66 ≈ 45%
・ デューティ比(D)=30 / 66 ≈ 45%
①、②ともに周波数は同じ15KHz。(1秒間に15000回のパルス)。
周波数が同じでも、パルス幅もデューティ比も全く違います。
「周波数」だけ見ても「パルス幅は全く分からない」、「デューティ比も全く分からない」。
周波数は「繰り返しの速さ」しか表していません。
デサルフェーションの効果は、周波数だけでは全く無意味なのです。
C)パルスとエネルギーの関係<デサルフェーションの核心>
(以下は概念を示す式です。)
①1周期あたりの投入エネルギー E₁ は:
E₁ ∝ V(電圧) × I(電流) × TON(パルス幅)
*・E₁:1パルスあたりのエネルギー
*・E₁:1パルスあたりのエネルギー
・∝:比例する
②1秒あたりの総エネルギー Eₛ は:
*・Eₛ:1秒あたりのエネルギー
↓
TON × f = D(デューティ比)
なので、
Eₛ ∝ V (電圧)× I(電流) × D(デューティ比)
とも言える。
②1秒あたりの総エネルギー Eₛ は:
Eₛ ∝ V (電圧)× I(電流) × TON(パルス幅) × f(周波数=繰り返し回数)
*・Eₛ:1秒あたりのエネルギー
↓
TON × f = D(デューティ比)
なので、
Eₛ ∝ V (電圧)× I(電流) × D(デューティ比)
とも言える。
【結論】
・周波数は直接エネルギーを決めない
・周波数は直接エネルギーを決めない
・周波数は、 TON(パルス幅)、 D(デューティ比)を通じて間接的にしか影響しない。
∴(電圧 × パルス幅 × デューティ) > 周波数
∴(電圧 × パルス幅 × デューティ) > 周波数
D)化学反応から見た周波数の効果
*注)高周波~低周波に“絶対的な定義”はありませんが、化学反応が“違いとして認識できるかどうか”の視点で区分しています。
高周波数帯のµs~nsレベルのON/OFFは、化学反応から見れば「連続」。
物理的にはON / OFF は確かに存在しているが、鉛バッテリーの化学反応から見ると・・
【重要】バッテリー化学反応時間スケール:ms~秒オーダー
【重要】バッテリー化学反応時間スケール:ms~秒オーダー
それに対して、高周波のµs~ns周期(= MHz~GHz)ではあまりにも速すぎる⇒反応が追従できない
結果として、ON/OFFを感じ取れず、平均化された電圧・電流として見える。
つまり”化学的には定電圧(連続印加)とほぼ同じ”。
下図は、低周波数帯と高周波数帯の充電器仕様を例としました。
◇低周波パルス(意味を持つ)
・周波数:0.5~5Hz
・周期:200ms~2秒
・パルス幅:50 ~300ms
⇒極板反応が「ON → 休憩 → ON」を認識できる。
⇒軽度サルフェーションに影響を与える場合もある。
⇒軽度サルフェーションに影響を与える場合もある。
◇高周波パルス(パルスの意味が薄れる)
・周波数:15 kHz
・周期:66 µs
・パルス幅:1~20µs
⇒極板反応はON/OFFを区別できない、平均値としてしか感じない。
⇒デサルフェーション効果は限定的(新たなサルフェーションの抑制程度)
⇒デサルフェーション効果は限定的(新たなサルフェーションの抑制程度)
*周期が化学反応の時間スケールより十分短いと、パルスは「存在していても、反応には見えない」。
・・鉛硫酸反応は、機械的衝撃ではなく電気化学反応。 高周波(µs)パルスでは、結晶に応力がかかる前にOFF、イオン移動が始まる前にOFF。
⇒“叩いているつもり”でも、反応していない
⇒“叩いているつもり”でも、反応していない
E)高周波パルスを”売り”にするメーカーがあるのはなぜ?
①高周波パルスは、現代の充電器ならハードウェアの追加なしに、ソフトの制御だけで簡単に実現できてしまう。 新規コスト不要。
②高周波パルス(「1秒間に@@@@@回パルス!)と書けば、消費者にサルフェーションに効果があるように思わすメーカー側のマーケティング。
<①の補足>
①-1)現代の充電器には、ほぼ必ず次のものが備わっています。
(a) マイコン(または制御IC)
・タイマー機能を持つ
・PWM信号を出せる(これは標準機能)
(b)スイッチング素子(MOSFET など)
・ON/OFF を高速で切り替えられる
・すでに電流制御や保護目的で搭載されている
→この2つがあればPWMは“完成”
①-2)なぜ「ハード追加が不要」なのか
・・・PWMで周波数を変えるとは何をしているか?
マイコン内部のタイマー設定を変える。(実際にやっているのは、たったこれだけ)
例)
・1秒に10回 → 10Hz
・1秒に1000回 → 1kHz
・1秒に15000回 → 15kHz
* コード(ファームウェア)を書き換えるだけで、回路は一切変えていない。
具体例で言うと、「1秒間に15000回のパルス」
・周期:約 66 µs :ON/OFF を 66 µs ごとに切り替えているだけ
これを実現するには、
・高速なマイコン? → 不要(数MHzで十分)
・特別な電源回路? → 不要
・追加の部品? → 不要
*既存PWMを高速化しただけ
<②の補足>
◇メーカー側のメリット
◇メーカー側のメリット
・ハードを変えずに差別化できる
・開発コストがほぼゼロ
・危険な高電圧を使わない(維持充電時13.6V前後のパルス)
・安全規格を取り直さなくてよい
・クレームリスクが低い
⇒「とりあえずPWMの周波数を上げて“高周波パルス!”と書くのが一番ラク。そしてサルフェーションに効果があるように消費者が思ってしまう効果を狙っている。」
∴高周波パルスだけでサルフェーションが除去できると思わす謳い文句を盲目的に信じないように。 内部抵抗が改善されたレビューのほとんどは、単に他の要因の充電効果があったから。
以上、自分の知識向上のために 長々とこのバッテリーと充電器のお話を書いてきました。
まだその他に書きたかったこともあるのですが、普段のブログのネタがわんさか滞留してしまっているので、いったんこのシリーズは終了します。
「その他」は、また気が向いた時に追記するようにします。
ps:本記事は自分の知識向上のために調べて作成したものです。 間違い等もあるかもしれません。ご承知おきください。





















